御浜町尾呂志地区の秋の風物詩「アサギマダラが集うフジバカマ園」
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御浜町
御浜町尾呂志地区は、秋になると全国各地から写真愛好家が集まる観光名所となります。何が多くの人を惹きつけるのでしょうか? 今回は御浜町尾呂志地区の秋の風物詩「アサギマダラが集うフジバカマ園」などおすすめの撮影スポットをご紹介します。
▼目次
1 アサギマダラが集うフジバカマ園
皆さんは「アサギマダラ」をご存知でしょうか? アサギマダラは、半透明の薄い青色に茶色模様の羽が美しい蝶です。北日本から台湾まで千キロ以上を渡り鳥のように移動することから、「旅する蝶」と呼ばれています。秋には気温の低下とともに暖かい南方へ移動を始めるそうで、この地域には9月下旬から姿を現し始め、10月に最も多く飛来します。
なぜ御浜町尾呂志地区にアサギマダラがたくさん集まるのでしょうか? この地区にはアサギマダラが蜜を好む「フジバカマ」という花をたくさん植えてある楽園があるからです。国道311号沿いの農産物直売所「さぎりの里」から400mほど離れた場所には、地元有志の皆さんによって「フジバカマ園」が整備され、アサギマダラの楽園づくりが行われています。
多いときには数百羽のアサギマダラがこの場所を飛び交って幻想的な光景を見せることから、それをカメラに収めようとたくさんの写真愛好家や観光客が足を運びます。皆さんもぜひ一度フジバカマ園を訪れてアサギマダラを見てください。
フジバカマ園は国道311号沿いにあり、数百株のフジバカマが植えられています。アサギマダラを鑑賞できるよう飛来シーズンには園を開放し、さまざまな説明看板を設置してくれています。
フジバカマの間をそっと歩いてみると、あちこちでアサギマダラが懸命に花の蜜を吸っています。この日は、あいにくの雨にもかかわらず数十羽のアサギマダラが飛び交っていました。都会育ちの私はあまりの多さにびっくりしていたのですが、「去年は今年の10倍くらい来ていた」との声も。数百羽の蝶が飛び交う光景をぜひ見てみたいですね。
アサギマダラの案内板です。この園を訪れる方のために地元有志の方々がこうした案内板をいくつも設置してくれています。
アサギマダラの生態についても詳しく案内してくれています。
フジバカマは、秋の七草のひとつで中国原産のキク科の多年草です。花の色が藤色を帯び、花弁の形が袴のようであることが名前の由来といわれています。開花時期は夏の終わりから秋の初めで、ピークは10月。アサギマダラが好む花として知られています。
アサギマダラの動画を一度ご覧ください。この動画に映っているのは2羽ですが、この蝶が数百羽飛び交っているところを想像してみてください。
ここにはアサギマダラの繁殖のため、産卵に適した「鬼女蘭(キジョラン)」という、つる性の草も多数植えられています。今年もこの草に産卵が確認されているそうです。
マーキング禁止の看板です。マーキングとは、アサギマダラを捕獲して羽に印を付ける作業です。再度捕獲した際に移動距離や移動日数などの情報を調べることで生態解明につなげるものだそうですが、ここではアサギマダラの保護のために、マーキングが禁止されています。ここにはフジバカマや鬼女蘭もあって、まさにアサギマダラにとっては楽園といえる場所ですね。
この日は、フジバカマ園を管理されている地元有志の「尾呂志アサギマダラとコスモスの会」の方にお話を聞くことができました。
同会の山田俊之さんによると、このフジバカマ園は4年前に地元の有志で結成された「尾呂志アサギマダラとコスモスの会」(山田俊弘さん、上之谷久さん、廣野栄松さん)によって運営管理されているそうです。
元々、この地域には何か所かフジバカマ園があったそうですが、フジバカマは「白絹病(しらきぬびょう)」という土からくる病にかかって枯れてしまうことが多く、大きなフジバカマ園はここだけになってしまったそうです。
このフジバカマ園は、今では多い年には1カ月あまりで3,000人を超える見物客が訪れる観光名所となっていますが、この園の運営管理には大変なご苦労があるそうです。さらに、別の場所でフジバカマの苗を育てたりしているほか、新たなフジバカマ園を造ることも考えているそうです。
ただ、現在の園は、フジバカマや鬼女蘭がたくさんあり、山あいにあってすぐ脇に小川が流れているというアサギマダラの滞在に適した場所だそうです。他所に比べて飛来個体数が多いといわれているので、できる限り現在のこの場所を守り続けていきたい、とのことです。
私もアサギマダラの楽園がこれからもこの地域で長く守り続けられることを心から願っています。
2 コスモス畑と風伝おろし
御浜町尾呂志地区のもう一つの秋の風物詩といえば「コスモス」です。フジバカマ園のすぐ近くや風伝峠の麓に広がる田畑にはコスモス畑が何か所もあり、アサギマダラの飛来シーズンとほぼ同時期に色鮮やかな風景を楽しむことができます。
また、この時期は「風伝おろし」といって、山から里へ朝霧が流れ降りてくる現象がよく見られます。この「風伝おろし」を狙う写真愛好家も多いそうです。その方々から、「風伝おろしをコスモスと一緒に撮りたい」「田んぼに張った水に霧が降りてくるのを映したい」などの要望が寄せられるそうで、「尾呂志アサギマダラとコスモスの会」の皆さんは「映えスポット」の整備に向けても心を配ってくださっているそうです。
「風伝おろし」は、天候、寒暖差、湿度などいろいろな気象条件が重なったときに発生する事象なので、ネットで随時確認できる専用のライブカメラを見てから訪れるというのがおすすめです。たまたま見ることができたなら、ラッキーですね。
風伝峠から滝のように流れ降りる朝霧と麓に広がるコスモス畑という幻想的な光景をぜひカメラに収めてみてください。
車で国道311号を走っていると、多くのコスモスが目に入ります。脇見運転をしないように注意してくださいね。
コスモス畑と風伝おろしのコントラストが見事ですね。
3 おみやげ探しにおすすめ!農産物直売所「さぎりの里」
フジバカマ園から400mほど離れた場所にある農産物直売所「さぎりの里」には、地元の生産者が心をこめて作ったブランド米「尾呂志米」や朝採れの新鮮な野菜、手作りの餅やお菓子、こんにゃくなどの加工品がズラリと並び、おみやげ探しにおすすめです。
また、隣接するお食事処「さぎり茶屋」では、御浜町の山奥で湧き出る岩清水を飲ませて大切に育てられたブランド豚「岩清水豚」が食べられます。写真撮影の後はここでランチにしてはいかがでしょうか。
アサギマダラなどを見た後の買い物にぴったりです。
ここでは、地元の生産者が持ち寄る採れたてで美味しい野菜や果物などをおトクに手に入れることができます。種類によっては早々に売り切れてしまうものもあります。
この日一緒に訪れた妻が「買う!」と即決したのは「はやとうり」と「ピーマン」。この写真からみずみずしさが伝わりますでしょうか? 私の自宅からさぎりの里までは少し距離があるのですが、度々訪れて季節の野菜や果物をおトクに買っています。
甘いものが大好きな私の一押しは「よもぎ餅」。大きくて柔らかくて餅と餡のバランスもバッチリ。あっさりした餡が好みの方には特におすすめです。
【さぎりの里】
住所 | 三重県南牟婁郡御浜町上野1616-2 |
電話番号 | 05979-4-1414 |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は営業) |
営業時間 | 8:00~16:30 |
駐車場 | 有 |
(ライター:紀宝町しょーじい さん)