「さんまの丸干し」と「さんま寿司」 家庭で作るさんま寿司レシピ|三重県東紀州
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熊野市
三重県東紀州地域は、温暖な気候と豊かな海の幸に恵まれた土地です。特に熊野灘は、古くからサンマ漁が盛んな地域として知られています。今回は、東紀州を代表する名産品、「さんまの丸干し」と「さんま寿司」の魅力と作り方をご紹介します。
伝統の味を支えるサンマの特徴
東紀州のサンマ加工品には、脂の少ないサンマが使用されます。特に、11月頃に北海道から南下する「もどりサンマ」は、脂肪分が落ちており、加工に適しているとされています。こうして昔の人々の知恵と工夫が詰まった名産品が生まれました。
さんまの丸干し
「さんまの丸干し」は、サンマを塩漬けし、尾を上にして吊るし、天日干しで余分な血や脂を抜きながら旨みを凝縮させた伝統の味です。
かつて熊野灘沿岸では、海岸一面に干されたサンマが陽ざしを浴び銀色に輝く美しい光景が広がっていたそうです。これは東紀州ならではの冬の風物詩でしたが、近年サンマは獲れなくなり、その光景は少なくなってしまいました。
熊野市の「畑辰商店」や「ひもの屋 しあわせうお」では、昔ながらの製法で作られた丸干しを販売しています。脂加減によって干し具合が異なり、しっかり干された丸干しは「カンピンタン」と呼ばれビーフジャーキーのような食感で、昔ながらのファンが多いそうです。さまざまな干し加減を食べ比べ、自分好みの味を見つけるのも楽しみの一つですね!
「さんまの丸干し」を購入できるお店
畑辰商店
住所:三重県熊野市本町301
電話番号:0597-85-2755
ひもの屋 しあわせうお
住所:三重県熊野市木本町330-7
電話番号:0597-70-4705
ハレの日にかかせない「さんま寿司」
「さんま寿司」は、お正月や祝い事などの特別な日に食べられる郷土料理です。柑橘の爽やかな酸味が特徴の酢漬けのサンマと、寿司飯の相性がよく、さっぱりとした味わいが楽しめます。
伝統の郷土料理「さんま寿司」レシピ
各家庭で受け継がれてきた「さんま寿司」。今回、地元の方に昔ながらの作り方を教えていただきました。分量は好みで加減し、ご家庭の味を見つけてください。
≪ 材料(15本分) ≫
・脂の落ちたサンマ 15尾
・サンズ(またはダイダイなどの柑橘) 7個
・酢 2カップ(サンマが浸かる程度)
・砂糖 大さじ4~5
・塩 小さじ1
≪ 作り方 ≫
①サンマのウロコを取り、背開きまたは腹開きにして内臓と骨を取り除く。しっかり洗い、水気を取る。
②サンマの重量に対し5~7%の塩で塩漬けにし、一晩おく
③塩漬けにしたサンマを水に浸して塩抜きし、酢で洗うように水気を取る。味見をして塩の抜け具合をチェックする。
④サンズ(この地域で採れる柑橘)、酢、砂糖、塩を合わせておく。少し甘めに作るのがポイント!※サンズは、ダイダイなど他の柑橘でもOKです。
⑤サンマを④に漬け、ラップを密着させ一晩おく。あればユズを散らす。
⑥寿司飯と手水(分量外:水100㏄に酢大さじ1を加えたもの)を用意する。
⑦まきすの上に、皮が下になるようにサンマを置く。手に手水をつけ、すし飯を手のひらサイズの俵型に握り、サンマ全体に広げながら形を整える。
⑧尻尾を指で押さえながら巻き込むように巻いて完成!
塩漬けしたサンマは、数週間保存することもできるので、作り置きも可能です。手作りのさんま寿司は格別の味わい。ぜひ一度、ご家庭で挑戦してみてください。
伝統を未来へつなぐ
近年、熊野灘ではサンマが獲れなくなりました。しかし、サンマの産地が違っても古くから伝わるサンマを使った名産品は今も各家庭に根付いています。
「さんまの丸干し」は今も人気の商品で、お話を伺っている間も、まとめ買いをしておられる地元の方をよく見かけました。そして、ハレの日には必ず食卓を飾る郷土料理の「さんま寿司」。これらの名産品は、これからも受け継いでいきたい、大好きで大切な三重県東紀州の味です。ぜひその伝統の美味しさを、実際に味わってみてください!
(ライター:たいら むつみ さん)