熊野古道の朝日(尾鷲市)
Update:
〽尾鷲よいとこ 朝日をうけて
浦で五丈の網を引く (尾鷲節)

東紀州は日の出がきれいです。

昭和の歌人・宮柊二(みやしゅうじ)は
熊野灘 いまのぼり来し
朝の日は 洋(なだ)のおもてに
くれなゐ流す
宮 柊二
と尾鷲の日の出を歌っています。

尾鷲市の中村山にこの歌の歌碑があります。
この記事では古くから愛されてきた朝日の撮影スポットをご紹介します。

朝日は、海の見える高台から眺めるのがベスト。
熊野古道馬越峠を尾鷲側へ越えた南東面の天満浦には、特等席がたくさんあります。
東には「日本の朝日百選の地」もあります。
天満浦

甘夏畑を横断する「天満農道」は、高度があって水平なので、自由に場所を選べます。
駐車場はありません。通行の邪魔にならないよう停めてください。

地元団体のおすすめポジションは、ここから始まります。
ポイントは尾鷲湾口にある佐波留島(左:さばる 通称ムーミン島)と桃頭島(右:とがしま)をどのように生かすかにあります。

天満農道の東端まで行くと、「日本の朝日百選の地」があります。
元旦には混み合います。私有地の取付道路なので、マナーを守りましょう。
「朝日百選の地」からの眺め

日の出方向は季節によって変わるので、シミュレーションによって方角を知っておきましょう。
時期によって、島と重なることがあります。

(天満農道から撮影)
水平線まで雲がない日は珍しく、たいてい薄雲があります。
雲を味方につけるか、敵にするか……それも技(わざ)のうち。

桃頭島と太陽が重なりました。
その時の雲の状態で、刻々と光束が変化します。

富士山の上から出てくる太陽の写真を見たことがあるなぁ、と思いながらシャッターを押しました。
水平道では移動がかなり自由なので、カメラを持って走ることもあります。

尾鷲湾では、早朝でも漁船がよく通ります。
船を入れてアクセントにするのもおもしろいかもしれません。
体力のある方は,天狗倉山(522m)山頂に挑んでみてください。熊野灘が見通せて、すばらしい景色が広がっています。

小型のデジカメで天狗倉山から撮影しました。
派手なハレーションがたくさん写っています。
最初失敗したと思ったのですが、こうして見てみると案外おもしろいものです。
ここから私が過去に撮影した写真を紹介します。
夜明け前

(尾鷲湾堤防から撮影)
日の出を待っている夜明け前には、月と金星が並んでいる写真も撮れます。
日の出の2時間前。月齢25の月と金星が並んでいました。
1枚パチリ。

(農道から撮影)
1992年1月2日6時の日の出前
月齢27の月(下)と金星が並んでいます。
3日後(5日)の日出帯食(にっしゅつたいしょく)撮影の予行演習中。
日出帯食(にっしゅつたいしょく)

1992年1月5日7時3分0秒
部分日食の日の出が見られました。しかも、水平線まで晴れ!!
天文誌・ネットで丁寧に探したのですが、水平線が写った画像は見あたりませんでした。
多分、貴重な1枚。

(農道から撮影)
天満農道ではこんな写真も撮りました。
1986年2月20日5時23分
太陽を回って熱せられたハレー彗星です。
日本初。世界ではベネズエラに次ぐ画像。
目では見えていないので、あらかじめ位置を計算して写しました。
令和の初日の出

(行野浦から撮影)
令和元年(2019)5月2日5時19分
1日は曇りだったので、令和の初日の出はこの画像になります。

太陽の部分を画像処理してみました。
光がハート形をしているように見えてきました。気のせいかもしれません……

きれいな日の出画像には、雲と前景の助けも大切。
早起きして、東紀州のすばらしい朝日画像を、ゲットしましょう。
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使用機器
・ 24-120mm 70-300mmズームレンズ
・ 一眼レフカメラ
・ 三脚、レリーズ
