熊野古道エリア 絶景ポイント 車で回ろう!(駐車場ポイント付)尾鷲市・熊野市・御浜町・紀宝町
Update:
前回は、紀北町から尾鷲市まで、駐車スペースのある絶景スポットを中心にご紹介しました。
今回はその続き。尾鷲市・三木里を起点に、熊野市から御浜町、紀宝町へと足を延ばします。
東紀州は、地図で見るとひと続きの海岸線ですが、実際に走ってみると、町ごとに景色も空気も大きく変わります。
さらに今回は2月。冬の澄んだ空気の中での取材となりました。
前回の記事はこちら
→熊野古道エリア 絶景ポイント 車で回ろう!(駐車場ポイント付)紀北町・尾鷲市
古江町|遠洋漁業の記憶が残る斜面の町
三木里ICを降り、海沿いを西へ向かうと現れるのが古江町。
今は静かな漁港町ですが、かつては遠洋カツオ漁の拠点として栄えた場所です。
背後の斜面には家々が連なり、かつての面影を感じさせます。
平地の少ないリアス海岸特有の地形。
海と山のあいだに、人の営みがぎゅっと詰まっているような町です。
港から見上げると、その立体的な景色に思わず足が止まります。
斜面に並ぶ家々、青い海、港の風景。
思わず日本のアマルフィなどと言ってみたくなります。
もちろん規模は違います。
テレビや映像でしか見たことはないのですが……。
それでも地形がつくる景観の美しさには、どこか共通するものを感じます。
こういうのは言ったもの勝ちかもしれません。
国内でもすでに名乗っている場所はあるでしょう。
光の当たり方によっては、本当に遜色ない景色だと私は思っています。

(※当日は逆光だったため、写真は別季節のものを使用しています)
車は「みえ尾鷲海洋深層水アクアステーション」に駐車させていただきました。
「みえ尾鷲海洋深層水アクアステーション」に少しに立ち寄り、そのまま西へ。
賀田の大滝|滝というより、岩盤を流れる水の風景
古江をあとにし、そのまま西へ進みます。
賀田ICを一度通り過ぎて約800m。
左側が少し広くなっている場所があります。

↑逆方向から撮っているので右側になっています。
そこに車を停め、ガードレールを越えて川へ降ります。
……と言っても、これがなかなか急です。


足元は不安定で、滑りやすい場所もあります。
ロープがありますが、あまりあてにせず気を付けて降りてください。
また、このあたりは山が近く、クマ対策も忘れずに。
降り立った先に広がるのが、「賀田の大滝」と呼ばれる場所。
滝と聞くと、高さのある豪快な水しぶきを想像しますよね?
しかし、ここは少し趣が違います。
広い岩盤の上を、水が滑るように流れていく。



滝というより、岩の大地を水がなぞっているような風景です。
石畳のように広がる岩。澄んだ水。
耳に届くのは水音だけ。
これが夏場であれば窪んだ石に流れる水に足を入れているでしょうね。
派手さはありませんが、しばらく立ち尽くしてしまうような、じわりとくる迫力があります。
観光地として整備されているわけではない分、自然のままの姿が残っている場所。
安全に配慮しつつ、ぜひ一度足を運んでみてほしいスポットです。
大滝をあとにし、ここからは細い山道を避けるため、熊野尾鷲道路の賀田ICを利用して先へ進みます。
太郎坂広場|狭い道の先にある、広がりのある眺望
賀田の大滝をあとにし、ここからは細い山道を避けるため、熊野尾鷲道路を利用します。
賀田ICから入り、熊野新鹿ICへ。ひと区間となります。
高速道路を降り、再び海沿いの道を目指します。
T字路を左へ、東方面へ進みます。
しばらくは問題のない道幅ですが、次第に対向車とのすれ違いがぎりぎりになる区間へ。
海と山に挟まれたリアス海岸特有の道です。
運転に不安のある方は、ここは無理をせずパスしても良いと思います。
交通量は多くありませんが、道幅は決して広くありません。
T字路からおよそ6km。
右手に「太郎坂広場」が現れます。


小さなスペースですが、車を停めることができます。
車を降りると、視界が一気に開けます。
入り組んだ海岸線と、冬の澄んだ海。
空気が透明な分、遠くまでくっきりと見渡せます。

この日は逆光気味で写真はやや控えめな仕上がりになってしまいましたが、実際に立つと、静かで気持ちのよい場所です。
観光地として大きく案内されることはありませんが、こうした「少し外れた場所」こそ、東紀州らしさが残っています。
しばらく景色を眺め、再び来た道を戻ります。
道中も思わず見とれてしまう景色が続きますが、運転にはくれぐれもご注意を。
以下は道中の写真



新鹿海岸公園と徳司神社|開けた海と、大クスの存在感
太郎坂広場から戻り、新鹿方面へ。
新鹿海岸公園に立ち寄ります。
夏場は多くの人で賑わう場所ですが、この日は2月。
新鹿海岸公園管理事務所の駐車スペースに停めました。



ただ、目の前の川に架かる海へ渡る橋は撤去されており、海際までは行くことができませんでした。

少し拍子抜けしたような、それでも冬の海らしい静けさが印象的でした。
人の少ない浜辺、波の音だけが響く時間。
夏の賑わいを知っているだけに、この季節の新鹿は、まったく別の表情を見せてくれます。

新鹿海岸公園で海を眺めていると、足元を歩く小さな鳥の姿が目に入りました。
東紀州に移住してから野鳥に興味を持ち、見かけるとつい写真に収めてしまいます。
今回見かけたのは「タヒバリ」。
名前にヒバリとつきますが、実はセキレイの仲間で、
冬になると日本へ渡ってくる鳥だそうです。
地面を歩きながら尾を上下に振る姿が印象的でした。
こうした小さな出会いも、ドライブの楽しみのひとつです。
せっかくなので、近くの徳司神社へ向かうことにしました。


徳司神社は、宝永年間(1704〜1711年)の高津波により旧社記が流失し、
詳しい創始は分からなくなったと伝えられています。
江戸時代には「徳司(徳師)明神社」と称され、その後、周辺の神社が合祀され現在の姿となりました。
境内に入ってまず目に入るのが、大きなクスノキ。
思わず見上げてしまうほどの存在感です。


枝は大きく広がり、幹には長い年月の痕跡が刻まれています。
海の開放感とは対照的に、ここには包み込まれるような静けさがあります。
特別に派手な社ではありません。
けれど、立っているだけで、どこか背筋が伸びる。
「エネルギーをもらえた気がする」
そんな言葉が自然に浮かびました。

海と山、そして神社。
距離にすればすぐそばですが、たち寄るだけで空気が変わる。
ほんの少し回り道をしただけですが、いい時間でした。
※公園内に注意喚起されていましたが季節が良くなるとダニ、ムカデに注意です。

波田須の道と徐福茶屋|偶然見つけた海のテラス
新鹿海岸公園をあとにし、さらに西へ進みます。
熊野古道・波田須の道の登り口付近で、車を停められそうな場所を見つけました。

事前に調べていたわけではありません。
走っていて、なんとなく気になっただけです。
車を降りて海を見てみると、思わず足が止まりました。
目の前に広がるのは、遠くまで抜ける海。
リアス海岸の入り組んだ景色とはまた違い、開けた水平線が印象的です。

そこに「徐福茶屋」という看板。


不定休で、月に数回営業しているとのこと。
訪れる際は事前にSNSなどで営業日を確認したほうがよさそうです。
(Facebookページ https://www.facebook.com/KUMANOHADASU)
テラスからの景色は、まさに圧巻。
静かに海を眺められる、心地よい場所でした。
少し上へ登り、波田須神社にも立ち寄ってから、再び車へ。
偶然の立ち寄りでしたが、こういう発見があるから、ドライブはやめられません。

磯崎から鬼ヶ城へ|海岸線の表情が変わる瞬間
徐福茶屋をあとにして西へ進みます。
前回、自転車でも立ち寄った磯崎町の案内板に少しだけ寄り道。
GoogleMap上も案内板となっています。
十分に駐車スペースがあるのでご安心を。
車を止めて海を眺めるだけでも、ここは十分気持ちのいい場所です。
よく目を凝らすと、遠くに紀宝町の北越コーポレーション紀州工場の煙突が見えます。
海を挟んで南北がつながっていることを、視覚的に実感できる瞬間です。
ここまで続いてきた紀北・尾鷲・熊野のリアス海岸は、鬼ヶ城を境に大きく表情を変えます。
入り組んだ海岸線は次第にひらけ、視界が遠くまで抜けるようになります。
地図で見ればひと続きの海沿いでも、実際に走ると空の広さや海の見え方がまったく違う。
冬の澄んだ空気も手伝って、海岸線の輪郭がくっきりと浮かび上がっていました。
観光地として名高い鬼ヶ城ですが、通過するだけでも十分に迫力は伝わります。
岩肌の荒々しさと、広がる海の対比。
ここを越えると、これまでのリアス海岸の密度とは別の、開放的な景色が待っています。
海を横目に走りながら、東紀州の海岸線が持つ多様さをあらためて感じました。


大峰近隣公園|やはり高いところへ行きたくなる
鬼ヶ城を越え、熊野の中心部へ向かいます。
次に立ち寄ったのは、大峰近隣公園です。


正直に言えば、観光でここを選ぶ人は多くないでしょう。
けれど、高いところがあれば登ってみたくなるのが性分です。
熊野の宿・海ひかり方面へ向かい、坂を上っていきます。
途中、道端に動物のオブジェが並んでいて少し驚きます。


整備されているような、されていないような、不思議な雰囲気の公園です。
さらに上へ進むと、視界が開けます。

熊野の町並みと海を見渡せる場所があります。

西側を見ると、工事が進む熊野道路の様子も確認できます。
熊野大泊から新宮北へとつながる計画の道路です。

なお、GoogleMap上では展望台と表示されていますが、そこからの見晴らしはありません。

上から見ると、町の構造や海との距離感がよく分かります。
海沿いから見る景色とはまた違い、俯瞰することで全体像が見えてきます。
特別な設備があるわけではありません。
けれど、少し登るだけで得られるこの眺めは悪くありません。
短い立ち寄りでしたが、印象に残る場所でした。

御浜町 カシュカシュ|続く理由がある店
大峰近隣公園をあとにして、御浜町へ向かいます。
立ち寄ったのはカシュカシュです。


お昼前の時間帯でした。
ランチにするか、ケーキにするか少し迷いました。
結果、ワッフルケーキを選びました。
思った以上にボリュームがあり、その後お昼を食べられなかったほどです。


ランチにしてミニワッフルを付けるのが正解だったかもしれません。
忙しい時間帯にもかかわらず、少しお話をさせていただきました。
今年で10周年になるそうです。
10年続けられた理由はありますかと伺うと、常連さんに支えられてきたことですと、すぐに返ってきました。
ちょうど軌道に乗り始めたころにコロナ禍となり、本当に大変だったそうです。
それでも地元の常連さんが定期的に足を運んでくれたことで、どうにか乗り越えられたとのことでした。
また、ツールド熊野の開催時期には海外からの来訪者があり、対応に追われたこともあったそうです。
毎年というわけではないものの、そんなエピソードもあると教えてくれました。
それでも地域のイベントが店を賑わせるのは嬉しいことだと話してくれました。
お客さんの半分以上は地元の方だそうです。
観光客向けというより、地域に根ざしたお店。
続く店には理由があるのだと感じました。
次はランチを食べに来なければと思いながら、店をあとにしました。

オレンジロードから紀宝町へ|山の景色と穏やかな資料館
カシュカシュを出て、市木川沿いを北上します。


そのままオレンジロードへ。
海沿いとはまた違う景色が広がります。
山の中を縫うように走る道。
ところどころにみかん畑が現れ、のどかな風景が続きます。
交通量もそれほど多くなく、走っていて気持ちのいいドライブコースでした。
そのまま紀宝町方面へ進み、紀宝町立ふるさと資料館みどりの里に立ち寄ります。
田代公園芝生広場の向かい側にある施設です。
暖かい日だったこともあり、年配の方が犬の散歩をしていました。
少し立ち話をしながら、ゆったりとした空気を感じます。
館内には紀宝町に縁のある品々が展示されています。

民具や生活道具が並び、町の歴史が静かに伝わってきます。
縄文時代の土器が発見されているという展示には、思わず足が止まりました。
この土地の時間の長さを感じる瞬間です。
外観の写真を撮り忘れてしまったのは少し心残りです。
大きな観光施設ではありませんが、地域の積み重ねを知ることができる場所でした。
帰り道のおすすめ
ここで折り返して熊野方面へ戻ります。
帰りながら立ち寄るなら、道の駅もおすすめですが、ぜひ寄ってほしいのが熊野市のファーマーズマーケットほほえみかんです。
野菜だけでなく、新鮮な魚も並びます。
価格も手に取りやすく、地元の台所のような存在です。
可能であればクーラーバッグを持って行くと安心です。
思わぬ掘り出し物に出会えるかもしれません。
私は、都市部のスーパーでは、なかなか見かけない高級魚を手に入れることがあります。
その日の水揚げ次第ではありますが、思いがけず良い魚に出会えることもあり、つい足が向いてしまいます。
景色を眺めて、少し寄り道をして、最後は地元の食材を買って帰る。
そんな一日のドライブも悪くありません。
まとめ|駐車できる絶景をつなぐ冬の東紀州ドライブ
今回は三木里から古江、賀田、新鹿、熊野、御浜、紀宝町へと走るコースをご紹介しました。
冬の東紀州は、夏とはまったく違う表情を見せてくれます。
空気は澄み、海は深い色を帯び、人の少ない静かな時間が流れています。
駐車できる場所に絞って巡ることで、気になる景色にきちんと立ち止まることができます。
海を眺め、神社に立ち寄り、偶然見つけたテラスで息をのむ景色に出会い、地元に根ざした店で話を聞き、資料館で土地の歴史に触れる。
特別な観光地を巡るというより、点と点をつなぐような一日でした。
東紀州は、走っているだけでも十分に美しい場所です。
けれど、ほんの少しだけ寄り道をすることで、その魅力はぐっと深まります。
次に訪れるときは、また違う季節かもしれません。
そのときは、きっと別の表情を見せてくれるはずです。
もし機会があれば、ぜひ一度このルートを走ってみてください。
個人的には、空気の澄んだ寒い時期もおすすめです。
景色がくっきりと見え、天気も比較的安定しているので、海の色がいちだんと映えます。
静かな東紀州を味わうには、冬のドライブも悪くありません。
今回のコース
※本記事のルートは当日の道路事情もあり、実際のルートとは異なるルートで周っております。
ドライブコースとしてご参考にしていただければ幸いです。
