熊野古道伊勢路最古の石畳と美しい里山や海を望む「波田須の道」|三重県熊野市
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Kumano City
「伊勢に七度、熊野に三度」─かつて多くの人が信仰を抱きながら歩いた熊野古道。平安時代、後白河上皇ら皇族や貴族が行っていた熊野詣は、江戸時代には広く庶民にも広がりました。これに伴い整備・形成された熊野古道伊勢路は、20年前に世界遺産に登録されました。
世界遺産に登録されて20年の節目を迎えた今、その歴史を肌で感じるために熊野古道を歩きました。今回は、伊勢神宮と熊野三山を結ぶ「伊勢路」の中でも、歴史情緒あふれる「波田須の道」をご紹介します。
石畳が続く静寂の道、古き良き町並み、そして美しい海岸線。足を踏み入れた瞬間、まるで時の流れがゆっくりと変わるような感覚に包まれます。ここには、遠い昔から変わらぬ風景と足を踏み入れた人々の想いが息づいているのです。
波田須の道とは
波田須の道を辿るルートは行程約4km。三重県熊野市波田須町を通り、約2時間で歩ける比較的短い区間ながら、伊勢路最古の石畳や徐福の宮、美しい海岸線の風景を楽しむことができます。
この道は、最古の石畳や歴史が体感できる貴重な古道として知られています。
波田須の道の見どころ
昔ながらの町並みや歴史が色濃く残る波田須の道には、多くの見どころがありますので、ぜひ参考に歩いてみてください!
熊野古道の石畳と杉並木
鎌倉時代に整備されたといわれる、伊勢路最古の石畳を含む約300mが世界遺産に指定されています。大きく歩きやすい石畳で、一足を踏みしめるたびに石の重厚さが伝わってきました。馬越峠の石畳などは、小さな石で隙間を埋めて整えていますが、それらとは全く趣が異なります。
杉並木が生い茂る静寂な道を進み、古来の人々が感じたであろう思いに馳せてみてください。
「徐福の宮」伝説
波田須町には、秦の始皇帝に仕えた徐福がたどり着いたという伝説が残っています。徐福は「不老不死の薬」を求めて熊野に上陸し、その後この地で暮らしたとされています。そんなロマンあふれる伝説が残るのが波田須町です。「徐福の宮」という小さな祠が今も静かに佇んでいます。
少し離れた場所から眺めると、その全貌をよく捉えることができますよ。
御足跡
小さな櫓の中には、弘法大師がこの地を訪れた際に残したと伝わる足跡が祀られています。
少し分かりにくいですが、ガードレールが設置された川沿いを奥に進むと、御足跡に続く石畳が見えてきます。
文字岩
西丹後守屋敷跡の前の巨石には、「勤愼忍」と刻まれています。仇討ちに来た夫婦を返り討ちにしたことを自ら戒め岩に彫ったと伝わっています。ルートを少し外れ、民家の間を進むとたどり着けます。
美しい海岸線の眺め
道中には、海岸線を望めるスポットがいくつかあり、太平洋の雄大な景色を楽しめます。海から吹き抜ける風が心地よく、思わず時間を忘れてしまうほどの絶景です。
波田須の道の駐車場と入口
車で訪れる場合:国道311号沿いの新鹿海岸公園駐車場が利用できます(海水浴シーズンは有料)。管理施設にはトイレが完備され、車は6台ほど駐車可能です。
列車で訪れる場合:JR新鹿駅から約10分で波田須の石標が見えてきます。
この石標が目印です。
徐福茶屋
国道311号沿いにある、景色が素晴らしいカフェが「徐福茶屋」です。311号を挟み向かい側には波田須神社、新鹿湾側には徐福の宮などが見渡せる位置にあるカフェです。
ほっと一息つける温かいコーヒーと、濃厚なみかんジュース。カフェ内では、常連さんたちが隣の方とおしゃべりを楽しんでおられました。少し会話を楽しんだ後は、テラス席で徐福の宮と新鹿湾の絶景を眺めながら、海風とドリンクを満喫してみてはいかがでしょうか。
徐福茶屋
住所:三重県熊野市波田須町454-3
営業日時:公式Facebook、または店舗前看板でご確認ください。(https://www.facebook.com/KUMANOHADASU/)
さいごに
熊野古道・波田須の道は、歴史と自然が見事に調和した素晴らしいルートです。かつての巡礼者が歩いた道をたどりながら、美しい景色と伝説に触れ、静かに心を整える旅をしてみませんか?
短いながらも魅力の詰まった波田須の道。熊野古道の中でも比較的歩きやすいルートなので、初心者の方や気軽に歴史探訪を楽しみたい方にもおすすめです。ぜひ、一歩足を踏み入れ、悠久の時を感じる旅へ出かけてみてください。
(ライター:たいら むつみ さん)