東紀州のご当地食材~他では味わえない魚介の珍味もご紹介~
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紀北町
尾鷲市
熊野市
御浜町
紀宝町
東紀州は、海との関わりが深い地域。
美しい熊野灘と入江が入り組んだリアス海岸が豊かな漁場を作っています。
豊富な魚介類は種類も多く、季節ごとに「この時期は、○○がうまいな〜」「○○が食べたくなってきたな〜」といった、地元の魚好きたちの会話が飛び交います。
そんな数多くある海の幸から、多種類のエビ、汽水湖で育つ渡利カキ、日本三大珍味のからすみ、独特の形の魚マンボウなど、他地域には珍しい東紀州ならではのものをご紹介します。
▼目次
1 多種のエビ類
2 渡利かき
3 からすみ
4 マンボウ
5 さんま丸干し
1 多種のエビ類
熊野灘では、ガスエビ、オニエビやウチワエビといったあまり市場には出回らないエビ類が水揚げされます。
オニエビはエビの旨味がぎゅっと濃縮されていて、焼いてよし、茹でてよし、また食べ終わったガラを砕いて濃厚なスープを取り、パスタなどのソースにするとたまりません。
しかしオニエビと鬼の名が付いているだけあって、殻に固い棘のようなギザギザがあるため、ずっとむいて食べていると指先が痛くなってきます。
痛くなっても食べ続けたくなるほど、味の虜になるエビです。
伊勢海老はもちろん美味しいですが、地元民がついつい自慢したくなる海産物は、外からのイメージとは少し違うのかもしれませんね。
2 渡利かき
冬場を代表する海の幸である牡蠣。紀北町には白石湖という汽水湖で育つ「渡利かき」があります。
生産量が少ないので「幻の牡蠣」とも呼ばれています。
白石湖は、大台山系の豊かな山の恵みが船津川によって運ばれ、美しい熊野灘の海水が混ざり合っています。
冬場の水温が高いため成長が遅く小粒ですが、塩分濃度が抑えられるため、旨み・甘味が凝縮されていて、クセのない味わいです。
毎年11月頃から3月中旬頃まで食べられますが、最も美味しくなるのは、寒さが厳しくなる2月頃と言われています。
渡利かきはいろんな食べ方を楽しめるので、冬場に渡利かき料理を食べられるお店へ行ってみてはいかがですか。
3 からすみ
東紀州には、豊かな海の恵みを受け、干物をはじめ豊富な加工食品があります。
高級食材の「からすみ」もその一つです。
日本三大珍味の一つとされていますが、元々はシルクロードを渡ってきたもので、トルコやギリシャで考案されたといわれています。
成熟したボラの卵巣を取り出し、血抜きをして塩漬けし、水につけてアク抜きをした後干したものが「からすみ」になるのですが、うまく作るのは難しいので作る業者も少なく、とても高価な食品となっています。
地元でも気軽に食べられる値段ではないのですが、この味わい、香りを知ってしまうと、「味の記憶」を強烈に植え付けられる一品です。
薄く切ってお酒の肴にすると濃厚なチーズに近い食感と独特の香り、程よい塩加減にお酒がいつもより進んでしまいます。
また、珍味としてだけではく、料理の食材としての可能性も秘めており、軽く炙ったからすみをほぐしてご飯にまぶしてお握りにしたり、パスタに使うと、一味違う味わいを楽しめます。
4 マンボウ
もう一つ珍しいものをご紹介。
紀北町や尾鷲市では「マンボウ」という丸い変わった形の魚を好んで食べます。
マンボウの身は水分が多いため、鍋で空炒りするか、茹でてざるに上げ、水分を抜くのが基本です。
家庭や料理店によって水分の抜き加減が違いますが、水抜きが十分でないと、調理した時に水分が出てマンボウ特有のにおいがするため、この処理が大事だと言われています。
その後、好みの大きさに手で割きます。火を通すと縮むのであまり細かくしないのがポイントです。
酢味噌和え、梅肉和え、唐揚げ、天ぷら、ムニエルなどいろいろな調理方法がありますが、おすすめは、地元ならではの『肝いり』です。
マンボウの肝を食べやすいよう、包丁を使わず繊維に沿ってひと口大に手で割き、さっと茹でて水分を抜きます。
鍋に好みの量を入れ潰しながら火にかけ、じわじわと肝から油が出てきたら、味噌、砂糖(肝と同量くらいが目安)を加え鍋肌にこすりつけるように煎ります。
茹でたマンボウの身と混ぜれば出来上がり!
この『肝いり』は、船の上でも包丁を使わずに作れる料理として、漁師さんが考えたそうです。
5 さんま丸干し
東紀州では、豊富な魚介類を背景に、食材の良さを活かした干物が多くあります。
地元だけではなく都市部の百貨店などで販売を行ない、全国から注文が相次ぐ事業者もあります。
数年前までは、東紀州を代表する干物といえば、「さんま丸干し」でした。
秋の味覚として取り上げられることが多いサンマですが、この地域には11月頃から3月頃まで東北の方から南下してくるものが主流でした。
この地域で獲れるサンマは、北海道のサンマのように脂がのったものではなく、脂がほどよく抜けて丸干しやさんま寿司に適したものでした。
しかし、ここ数年はほとんど獲れていないので、貴重な魚となってしまいました。
地元の漁師さんに聞くと、海水温の上昇が大きな原因で、他に水揚げされる魚も変わってきているといいます。
水産業を取り巻く環境が大きく変化する中、漁師さんは勿論、養殖業や加工業など水産業に携わる皆さんや、料理人の皆さんは、未利用魚の有効活用や、新たな水産物の養殖や、新しい調理法のなど、水産業の新たな可能性を探り続けています。
東紀州へ来て、きれいな海を楽しんで、そして海の幸をぜひ存分に味わってください。