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透き通るような、では物足りない!世界に誇る川の世界遺産や奇跡の川

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紀北町

熊野市

紀宝町

大台山系の山懐を源流とし、沢となって谷をくだり、ときには滝の姿となって、熊野灘に注ぎ込む東紀州の川。

清らかな流れは地元の人にとって、大切な飲料水であり、遊びのフィールドです。

透明度の高さから「奇跡の川」と呼ばれる銚子川、渓谷美にうっとりとする北山川の瀞峡、山深い谷間に静かに流れ落ちる布引の滝、川の参詣道として人々が往来した熊野川、そして祭礼の舞台として知られる御船島と、それぞれに歴史や特徴のある川のスポット5つをご紹介します。

▼目次
1 銚子川[紀北町]
2 瀞峡 [熊野市]
3 布引の滝 [熊野市]日本の滝百選
4 熊野川 [紀宝町]川の参詣道 三反帆
5 御船島 [紀宝町]世界遺産

 

1 銚子川[紀北町]

本州で最も年間降水量が多い大台ヶ原を源とし、高低差約千メートルの急勾配を経て雄大な熊野灘へと注ぐ「銚子川」。

川の流れのほとんどが山間部で、流域に人家は少なく、エメラルドグリーンの輝きを放ちながら、流れは美しく透き通っています。

その透明度の高さから「奇跡の川」と呼ばれることも。

潜らなくても川に顔をつければ、水中の生き物の営みを見ることができます。

その水の旅は約17km。

上流には氷瀑で知られる清五郎滝など滝が数ヵ所あり、支流の魚飛渓は巨岩・奇岩のひしめくゴツゴツとした岩場で、遊びのスポット。

中流域にはアウトドアの拠点「キャンプinn海山」があり、浅瀬で穏やかな下流には多くの人が涼を求めてやってきます。

そして銚子川の最大の特徴ともいえるのは、「ゆらゆら帯」と呼ばれる汽水域。

川の淡水と海の海水の境界がみられる河口は、海の魚が泳ぐ生物豊富な場所となっていて、淡水と海水が分かれる「塩水くさび」の現象はどの河川にもあるはずですが、銚子川ではそれがはっきりと目に見えています。

流域の人々は、アユやアマゴの渓流釣り、キャンプや水泳、ターザンごっこ、天然の滑り台などの川遊びをしてこの川に親しんできました。

そんな美しい銚子川をそのまま未来につなげようと、清掃業務の規模を大きくしたり、生態系のモニタリングを行ったりと、流域ではさまざまな取り組みも行われています。

 

2 瀞峡 [熊野市]

瀞峡

「瀞峡」は、吉野熊野国立公園内の奈良県・和歌山県・三重県にまたがる国特別名勝の大峡谷。

熊野川支流の北山川にあり、北山川は「日本清流百選」のひとつで、豪雨と急流により削られた渓谷が続き、澄んだ水が流れています。

上流から「奥瀞」「下瀞」に分かれ、特に「下瀞」は巨岩・奇石が並び荘厳で美しく「瀞八丁」と呼ばれています。

春には新緑、秋には紅葉と、四季折々の美しい景観が、壮大な自然の中に描かれます。

瀞峡1

川の色は深みのある鮮やかなコバルトブルー。

周囲の木々や崖の岩肌の色と相まって神秘的な雰囲気を醸し出し、観光用の川船からは、峡谷を見上げることができます。

舟で、静かにのんびりと景色を眺めてみましょう。

さまざまな表情の景色に魅せられ、プロのカメラマンも多く訪れる絶景スポットです。

 

3 布引の滝 [熊野市]日本の滝百選

熊野川支流の楊枝川の枝谷、布引谷にある落差およそ53mの「布引の滝」は、日本の滝百選のひとつ。

四段からなる段瀑で、1段目は12m、2段目は3.5m、3段目は7.7m、そして4段目は29.1mの落差をもって滝壺にその流れを落としています。

名称の由来は、1枚の大巾の布地を垂らしたかのように、さらさらと流れ落ちる様からつけられたもの。

音もなく、飛沫もたてず、清水の落下する光景は格別の風情がある、優美な滝です。

水の流れは別名を「女滝」とも。

また周辺の森は「きらずの森」と定められ、豊かな自然が保護されています。

エメラルドグリーンの滝壺付近まで、石段がつくられています。

道路から歩くことわずか5分、下まで降りれば1番下の滝を正面から眺めることができ、滝壺にそっと消えていく水の流れに心が洗われるようです。

布引の滝は下流にある「荒滝」とともに、修験道の行場であったことでも知られています。

 

4 熊野川 [紀宝町]川の参詣道 三反帆

熊野川2

「川の参詣道」としての価値が認められ、世界遺産に登録された「熊野川」。

かつて熊野本宮大社に参拝した人々は、熊野川を川舟で下り、新宮(熊野速玉大社)を目指したそうです。

平安時代の上皇・貴族たちも熊野詣の際に舟下りを利用したんだとか。

熊野川で一際目立つ川舟が、三つの帆を掲げる三反帆です。

この船はかつて、早朝に上流部から木炭や薪、米を川下へと運び、午前10時頃から吹き始める南風を帆で受けて、上流へと帰って行きました。

物資を運搬する船でにぎわう熊野川で、三反帆が往き来する光景は毎日のように見られたといいます。

三反帆の舟は熊野川独特のものです。

熊野川

全長8mにもなる船が、なぜ川を遡上するのでしょうか。

これは熊野灘から川へと吹きこむ、黒潮の運んだ温かい風がエネルギー源。

そして大きな川幅と、川の両側に山が切り立った地形もはずせない条件です。

これらの条件が重なったとき、三反帆はスピードを上げて上流へと進むのです。

順風をとらえると、帆は前方に膨らみ、船は静かに動き始めます。

川底をたたく波の音が心地よく、川沿いの林からは鳥の声も聞こえてきます。

風の力で進み、環境にも優しく快適、熊野川をじっくり観察するにはもってこいの乗り物なのです。

自然の中に包み込まれ、熊野川と一体化した時間。

そして船頭の語りに川舟が行き交った往時の繁栄を偲ぶ三反帆のツアーをぜひ体験してみましょう。

 

5 御船島 [紀宝町]世界遺産

熊野川の河口から、2kmほど上流に浮かぶ「御船島」。

行政的には三重県南牟婁郡紀宝町に属していますが、お隣・和歌山県新宮市にある、熊野速玉大社の境内の一部。

速玉大社の例大祭「御船祭」では祭礼の舞台となります。

御船祭は年に一度、熊野夫須美大神が「神幸船」で島へ渡って、再び速玉大社の社殿に還ってくるという行事。

御船島の周辺で9艘の「早船」による競争や「諸手船」の上では女装の男子が櫂を持って踊る「ハリハリ踊り」などが行なわれ、夫須美神が来臨した姿を複演しています。

御船祭

この祭礼はずいぶんと昔からあったようで、鎌倉時代後期の私選和歌集である「夫木和歌抄」に御船島とこの祭礼を詠んだ歌があり、御船島の眺望ポイントに歌碑が建立されています。

「三熊野のうらわに見ゆる御船島 かみのゆききに漕ぎめぐるなり 後深草院少将内侍」

 

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