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水と岩が語りかける渓谷-紀北町・魚飛渓(うおとびけい)

更新日時:

紀北町

又口川(またぐちがわ)--魚飛渓を形づくる清流

魚飛渓が流れる又口川は、銚子川の一次支川で、尾鷲市の高峰山(標高1,045m)を源とします。長い時間をかけて岩を削り、魚飛渓ならではの景観をつくり出してきました。透明度が高く、冬以外の季節には陸上からカワムツやボウズハゼ等が泳ぐ様子を見られます。また、又口川の左岸側は大台山系鳥獣保護区に指定されています。

清流と緑の中に映える、赤色が印象的な魚飛橋
銚子川に架かり、ここから先は又口川沿いに県道760号が続きます。

車の通行について(木津地区)

魚飛橋の周囲には木津地区の民家があります。この区間では地域の方々の暮らしに配慮し、歩行者や車両とのすれ違いに十分ご注意ください。

写真下:銚子川上流 左:銚子川下流 右:又口川   令和8年1月撮影

 

銚子川と又口川の出合(であい) -にんがら淵

河口から約5kmの木津(こつ)地区、魚飛橋のすぐ下流で、銚子川と又口川が合流します。この川と川の出合は、「にんがら淵」と呼ばれ、「賑わう」が変化して「にんがら」になったそうです。かつては上流にダムがないため水深が深くて船着き場もあり、木材運搬の筏流しが行われました。大正時代になると筏流しから軌道運搬に替わっていきます。

 

名づけられた魚飛渓の巨岩・奇岩

魚飛渓は、熊野北カルデラに位置するため「石の谷」ともいえるくらい火成岩の巨岩・奇岩が点在していて、その多くは特徴的な形から名づけられています。その石の名前には、怪力伝説の「弁慶の手形石」、親子の情景が重なる「子づれ石」などがあり、まさに屋外に広がる自然造形の博物館です
これらの名称は、大正13年に書かれた相賀村の「魚飛渓調書」にも記載が見られ、また、昭和56~57年頃海山町郷土史研究会会員の濱口禎也氏によって調べられ、語り継がれてきたものです。

なお、写真の一部は川原から撮影されたものですが、川原へ下りる道は急坂で整備されていないため、散策の際は、県道760号からの鑑賞をおすすめします。今回は県道から見つけやすい石を選んで紹介しています。川原へ降りる場合、濡れた石は非常に滑りやすいのでご注意ください。

富士山

日本最高峰・富士山(標高3,776m)を思わせる美しい三角形の姿が印象的な石です。横山橋の下流側左岸寄りにあります。

くつろぎ庵(公衆トイレ)

横山橋と砂碁の間に設けられている、平成4年(1992年)に完成した公衆トイレが「くつろぎ庵」です。男女別となっています。

砂碁(すなご)

横山橋の上流側にある川砂がたまる淵が砂碁です。一般的に砂碁より上流を魚飛渓と呼んでいます。川の流れが一時的に緩やかになる場所では、上流から運ばれてきた砂や小石が沈み、こうした砂だまりが形成されます。この淵は、特に風のない時に透明で美しい緑色となります。

坊主石(ぼうずいし)

丸くなめらかな形が、頭を剃ったお坊さんを連想させる高さ8mの坊主石。
県道からは、木の間に見られます。

神楽岩(かぐらいわ)

右岸にあり神楽獅子が口を開けたように見える神楽岩。その下部の石英斑岩の白い岩肌は白ナメラと呼ばれています。舞台で神楽が舞われているかのような、躍動感がある形状の神楽岩です。

おたふく石

ふっくらとした頬のような形が、おたふくの顔を思わせる石。おたふくは、「おかめ」とも呼ばれ、魔除けや福を招く神とされます。神楽で「ひょっとこ」と対に用いられますが、夫婦ではないそうです。見る人の心を和ませる石です。

魚飛不動明王

岩の下に祀られている魚飛不動明王は、昭和3年に村中の平和と繁栄を願ってこの地に安置されました。ここでは不動明王とあわせて、修験道の開祖とされる役小角(役行者)も祀られており、渓谷散策の途中で静かに手を合わせたくなる場所です。かつては毎年4月29日が祭日で屋台店が立ち並び賑わったそうですが、現在は行われていません。

コラム|不動明王と役小角

不動明王は仏教の信仰対象で大日如来の化身とみなされています。起源はインドの「アチャラAcala」という尊格で「動かないもの」という意味です。刀剣を持ち、怒りの表情ですが、これは邪悪なものや煩悩を打ち破り、時には𠮟責して正しい道へ導くという役割のためです。「不動尊」「お不動さん」とも呼ばれ親しまれています。
役小角(役行者)は、「えんのおづぬ」や「えんのおづの」と読み、山を修行の場とする修験道の開祖とされています。平安時代初期に編纂された『続日本紀』(しょくにほんぎ)に登場します。奈良県出身で7~8世紀に実在したとされますが、鬼神を使役したり、流刑先の伊豆大島から海上を飛行して富士山で修行したりと、伝説の多い人物でもあります。

弁慶の手形石

魚飛不動明王から40m上流にあります。落ちてきた大石を豪傑・弁慶が受けとめた跡だと伝えられる弁慶の手形石。人の手を思わせる形をしており、自然の造形に想像力が重なることで伝説ができました。実際はマグマが上昇して地表に噴出するまでの間に他の石を取り込み固まった捕獲岩(xenolith)です。

千畳敷

川幅は比較的広く、千畳敷の名前の通り広く平らな岩があります。川原へ降りる道は特に急であるため、注意が必要です。

魚飛吊橋
橋上から清流と岩が織りなす景観を一望できる絶好のビューポイントです。
渡った先の遊歩道は現在(令和8年2月)工事中で通行止めとなっています。
平成6年(1994年)完成、全長50m、幅1.5m

サルマ淵(滝)

魚飛吊橋から上流に進むと、小さな滝が現れます。「サルマ淵」又は「サルマのドンドン」ともいわれる場所です。この滝の上下が深みのある淵となっています。

シャッポ岩

帽子(シャッポ:フランス語)をかぶったように見える、ユニークな形の岩。
昔は水量が多く、この岩の中間が常時の水面の高さであったそうです。
「シャッポを脱ぐ」と言いますが、相手に降参するという意味ですね。

舟石(ふないし)
シャッポ岩から200m上流に魚飛トンネル(延長49.0m、高さ3.8m)があり、その横に川に浮かぶ舟のように見える舟石があります。高さ5mで、又口川の流れと調和した姿が美しく、まるで川旅の途中で一休みしているかのよう。

ぼたもち石
舟石から上流へ20mの所にある、ぼたもちように見えることから名付けられた高さ5.5mの石。ぼたもちは、ボタン(牡丹)の花に似ているため牡丹餅という意味です。トンネルの横に位置し、県道からやや遠くに見えます。

子づれ石

台風にも耐え大きな石にちょこんと小さな石が載っている子づれ石。親子のような姿が微笑ましく、自然の中に温かみを感じさせてくれます。

八丈岩(はちじょういわ)

子づれ石の上流17mにある広く平らな高さ4m周囲約40mの巨岩で、名のついた石としては最上流に位置します。昭和40年頃、八丈岩より上流では、石材として石が切り出されたそうです。この先の上流には1961年に完成したクチスボダムがあります。また、さらに先の上流域にはかつて「又口」という林業従事者が暮らす集落もありました。

 

魚跳渓谷あまご釣り大会

毎年4月29日には、銚子川漁業協同組合主催の魚跳渓谷あまご釣り大会が開催されます。魚飛渓を舞台に行われるこの大会は、釣り愛好家はもちろん、季節の訪れを感じる地域の行事としても親しまれています。

 

駐車場についてのご案内

夏季(指定日限定)には水遊びのために、横山橋近くに有料駐車場が設置されます。現地案内や誘導表示に従ってご利用ください。川沿いの路上駐車はご遠慮願います。

散策の場合は、魚飛吊橋の近くに林道栃山木組線の起点があり県道760号線と丁字で交わります。県道から林道栃山木組線に曲がり10m進むと左側に紀北町管理の舗装された空地があり、10月から6月の間は解放されているため無料で駐車できます。

※距離の目安:横山橋~魚飛吊橋 1.2km 、魚飛吊橋~八畳岩 1.1km

魚飛渓や銚子川の駐車場等について、紀北町観光協会公式サイト「きほくのたび」をご確認ください。https://kihoku-kanko.com/see/608/

今回紹介した魚飛渓の地図はこちらです。

 

安全に楽しむためのお願い

魚飛渓は自然豊かな渓谷である一方、安全に楽しむために、いくつか注意していただきたい点があります。

スズメバチについて

夏から秋にかけては、スズメバチが活動する時期です。黒っぽい服装を避け、匂いの強い香水や整髪料を使わないなどの対策をおすすめします。

※ツキノワグマの出没について 三重県の発表をご確認ください。
https://www.pref.mie.lg.jp/JTAISAKU/HP/m0114900048.htm

携帯電話の通信状況について

魚飛渓の上流側では、携帯電話が圏外となります。

・上流にクチスボダムがあり、サイレンが鳴ると放流されます。

・アユとアマゴ釣りは、遊漁券が必要です。

 

魚飛渓散策ガイド

魚飛渓を案内してくれるガイドを依頼すると、安心して見どころを巡ることができます。2団体あります。料金等詳細は、リンク先をご確認ください。

・銚子川案内人と巡る奇跡の清流銚子川(7月と8月は休み)

主催:特定非営利活動法人ふるさと企画舎

TEL:0597-33-0077(キャンプinn海山 9:00~17:00)

E-mail :furusatokikakusya@zd.ztv.ne.jp
https://camp-inn-miyama.com/experiences/regionalspots/choshigawa-guide/

 

・魚飛渓ランチアドベンチャー

主催:紀北町海山地区渚泊推進協議会

TEL:090-8735-8764

E-mail:kumanokodo@zb.ztv.ne.jp
https://miyama-nagisahaku.com/

 

おわりに-自然と向き合う時間を、魚飛渓で

清流と巨岩が織りなす魚飛渓は、自然の力と人の営みが重なり合ってきた渓谷です。季節ごとに表情を変える景観をぜひ現地で体感してください。